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黄昏の青き流星 「はやぶさ」最後の飛翔 その1(東京~門司) [歩いて撮ろう(鉄道編)]

新しい職場に通い出して2週間。
毎日研修漬けの日々ですが、新しいことをたくさん知れるのは
自分が成長できるチャンスでもあります。スポンジのようにどんどん
知識を吸収して、早く一人前になれるよう頑張っています。

もう遠い昔のように感じますが、「らき☆すた」イベント参加後、
東京駅へと向かったところから、ブログを再開したいと思います。
「秒速」ファンの私には念願だった、種子島への遠征旅行。
何とか時間と予算の都合をつけ、ついに12月2日、出発にこぎつけました。

その旅のトップランナーは、東京駅発・熊本行きの寝台特急「はやぶさ」。
関西在住の私には、東京駅から乗車できるチャンスは、これが最初で最後だと思い、
選んだ次第です。東京駅で15000円以上(!)もする鹿児島中央駅までの
片道きっぷを買い、「はやぶさ」の入線してくる10番線へと向かったのでした。


EF65に牽かれて「はやぶさ・富士号」入線

この「はやぶさ」も、「銀河」と同じ報道(「銀河」の3月改正廃止が、先日ついに
正式発表されました)で、再来年(2009年)春で廃止がほぼ決定と伝えられました。
「銀河」が消えることが決定した今、もし「はやぶさ」が廃止されれば、
東京駅からブルートレインが完全に姿を消すことになります。


「12両編成」 一見長いように思えますが、大分行き「富士」と併結のため、実質6両編成

1956年に寝台特急「あさかぜ」が東京~博多間を20系客車で
結んでから半世紀あまり。かつては長距離移動の花形だった寝台特急も、
飛行機や高速バスの発達、新幹線の高速化などで次々と乗客を奪われ、
車両の老朽化も相まって、間もなく終焉の時を迎えようとしています。

「移動」という視点だけで見れば、東京を夕方に出発し、博多に10時過ぎ、
熊本に至ってはお昼12時前到着という、ビジネスにも観光にも利用しづらい時刻設定。
羽田発の最終便の方が出発が遅く、始発便の方が速く熊本に到着します。
季節によって柔軟に割引運賃を設定している航空機に、価格面でも遅れをとる有様。
飛行機が苦手な人、私のような寝台特急そのものを楽しみたい人以外には、
もはや存在価値がない、と言っても過言ではないでしょう。


国鉄時代そのままの方向幕が、この車両の歴史を感じさせてくれます

そんな寝台特急に、民営化され利益追求が至上命題になったJRが、
投資を続けられるはずもありません(民営化の弊害と言えるかもしれませんが・・・)。
ここ数年、くしの歯が欠けていくように、ダイヤ改正のたびに「はくつる」「あさかぜ」
「さくら」「彗星」、そして私もお別れ乗車した「出雲」と相次いで姿を消しています。

刀折れ矢尽く(そこまで闘ったかは定かではありませんが・・・)。
すでに命運は決まったかのような状況ですが、それでも「はやぶさ」は、
大分行き「富士」と手を結んで、老体に鞭打ちながら、今日も走り続けています。

健気に。そして力強く。


いつの間にかEF66(この日は46号機)が先頭に連結されていました
機関車の付近には、撮影事故防止のため、ロープが張られていて近づけなくなっています

この日乗車したのは、3号車。「ソロ」と呼ばれる、B寝台一人用個室の車両です。
いつも利用する開放型B寝台車と同じ値段で利用できるため、乗車率の低くなった今でも、
しばしば満席になる人気の車両。廃止が伝わった今では、かなり入手困難に
なっているようです。1か月前に買っておいて良かったです。


形式表示の塗装部分がはげ落ち、かなり無惨な姿でした


車両自体が30年以上、ソロに改造されてからもすでに15年以上経過しています

この日も乗車口にはけっこうな人が列をつくっていました。
もちろん10番線を上から見下ろしている、新幹線ホームのにぎわいとは、
比ぶべくもありませんが。デッキから客室への扉が自動になっている以外は、
普通のB寝台とあまり変わらない車内へ。

ロゴ入りの自動ドア

車内は開放寝台があった位置に、二階建ての個室がずらっと並んでいます。
私は今回、二階の方(偶数の部屋番号)を選びました。
扉を開け、いざ個室の中へ。


床や壁に汚れが目立ちました、全体に煤けた感じで残念(喫煙車両のせいもあるかも)

狭い階段を、たくさんの荷物を持って上がるのは大変。
暖房もかなり効いていたので、それだけで汗だくになってしまいました。

とりあえず個室に荷物をすべて置き、ルームキーをかけて再び外へ。
翌朝の機関車付け替えまで、「はやぶさ」の停車時間は各駅短いので、
東京駅で撮れるだけの写真を撮ります。このために京都から持ってきた
一眼レフ(フィルム)も大活躍。15分ほど発車までありましたが、
あっという間に時間が流れていきます。


進行方向と逆向きにしか座れない個室でした、窓も小さくて思ったより疲れました

18:03、EF66に牽かれた12両の寝台車は、ゆっくりと東京駅を後にしました。
ほどなく流れ始める、客車列車にはおなじみの車内メロディ、「ハイケンスのセレナーデ」。
この日の車掌さんは律儀で、駅に着くたびにこのメロディを鳴らしていました
(普通は始発、終着、大きな駅到着時のみのことが多い)。
大阪駅までの到着時刻を案内していきます。この日は大阪までの利用の方も
おられたようです(深夜1時過ぎの到着)。


他のホームの喧噪をよそに、ひっそりとしていた東京駅9・10番ホーム

とりあえず放り込んでおいた荷物を整理して、居場所を確保したら、
さっそく買い込んできた酒と食料を取り出し、一人酒盛りの始まり。
実はこのときすでに体調がおかしかったのですが、
「せっかく買ってきたので」と飲み過ぎたのがいけませんでした。


寝台車には、カップ酒と缶ビールがよく似合います


検札を終え、カギを閉めるとこの空間は独り占め

窓の外を流れ去る、都心のビルやネオンの灯り。
足元からひびくレールのジョイント音が、子守唄のように聞こえてきます。
個室内にはテレビもないので、持参のipodで好きな音楽を聴きながら、
列車の揺れに身を任せます。ときおり通勤電車と併走して、車内の吊革持った人に、
缶ビール片手にボーッとしている悠長な姿を、にらまれたりもしましたが(笑)


東京駅地下の大丸で買った寿司をつまみに

しかし酔いが回ってくると同時に、全身を倦怠感が襲いました。
どうやら昼間の鷲宮イベントで立ちっぱなしだったのが、良くなかったようです。
だんだん気分も悪くなってきて、とりあえず毛布をかぶって横になることに。

さらば東京

せっかくの「はやぶさ」乗車。深夜帯以外は起きていたかったのですが、
次の日の種子島上陸にも響きかねず、体調回復を優先して眠ります。
しばらく寝て、目がさめたのは京都到着(0:36)のときでした。
いつも自分が利用している駅を、寝台車の窓から見下ろすのは、
なんとも不思議な気分でした。ここから熊本までは、まだ11時間を要します。


富士駅(20:07着)ではホームでカメラを構える方が、お疲れ様です

静まりかえる京都駅

途中ちょっとした揺れで目がさめ、なかなか寝付けませんでした。
やはり体調が悪いせいだったんでしょう。あと私はエアコンの暖房が苦手で、
スイッチを切っていたためか個室内が寒い! ペラペラの毛布一枚では
どうにも防ぎようがありませんでした。

そうこうしているうちに、深夜帯に入り中断していたアナウンスの再開時刻に。
ほどなく柳井駅に停車しました。列車は定刻通り運転されていて安心。
まだ陽は昇らず

柳井駅で駅弁が積み込まれ、次の下松からは立席特急券を持ったお客さんが、
B寝台車に乗り込んできました。ここから終点の熊本まで、寝台料金なしで
乗車できる措置がとられているのです。徳山駅からは、車内販売がスタート。
混雑時はあっという間に売り切れるという、伝説の(?)ワゴンサービスです。
幸い「はやぶさ」編成の1号車から巡回が始まったので、おとなりのシングルDXまで
足を伸ばして、ホットコーヒーを買ってきました。

待ちかねたお客さんが次々と個室から出て注文


防府駅では通勤ラッシュも始まっていました

防府、新山口、宇部とこまめに停車し、下関に到着したのは8:32。
ここでは以前乗った「あかつき」と同じく、関門トンネル通過のために
機関車の付け替えが行われます。扉が開くと同時に、機関車付近へと急ぎます。


到着後ほどなくEF66は客車を切り離し、お仕事終了(1100キロあまりを走破)


出発以来初めて姿を現した「はやぶさ」のテールマーク

月曜日だったためか、親子連れが一組と、プロっぽいカメラマンが一人
見守っていただけでしたが、この作業は何回見てもわくわくします。
待機していた関門海峡専用機・EF81(411号機)がゆっくりと近づいてきました。


合理化が進んだ鉄道界でも、この作業だけは人の手による安全確認が欠かせません

作業員の方の誘導によって、少しずつ前進してきた機関車は、
ほんの少しの衝撃だけで見事に連結完了。作業を見届けたら、
すぐに車内に戻りました。少しして列車は動き出し、列車は本州に別れを告げます。

見慣れたこの風景も消えゆく運命です


朝の空気に包まれた下関は、何回通っても美しい

次の門司駅で、後ろの「富士」が日豊本線に入るため、切り離されます。
その前に連結部も見てきました。下関から乗り込んだJR九州の車掌さんが、
あわただしく切り離しの準備をしていました。

5分ほどで関門トンネルを出ると、九州上陸です。
東京を出発してすでに14時間以上、終着・熊本駅まであと少しです(つづく)。

8:46門司駅到着


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